Work

石橋(功)研究室では、これまでの無線通信とは異なる「電池切れも圏外もない」超高信頼・超長寿命通信システムの実現を目指し、超多数の端末の同時通信を実現するグラントフリーアクセスや、統計的学習に基づいた超高信頼通信、基地局の概念を覆すセルフリーネットワークなどに取り組んでいます。またIoT向け通信技術として、環境中のエネルギーを活用するエナジーハーベスティング通信や、浮遊電磁波を利用した超低消費電力通信といった研究にも取り組んでいます。

これらの研究は我々の研究のごく一部です。より詳しく情報を知りたい方は是非研究室見学をどうぞ。

超低遅延・多接続を実現するグラントフリー非直交多元接続

自動運転やロボット制御、スマートファクトリーなど新しい応用技術の出現に伴い、1平方メートルあたり数十台といった超高密度に存在する無線端末を数ミリ秒以下の低遅延で収容する新しい無線通信技術が必要とされています。2020年より商用化を開始した5Gでも実現不可能なこのような要求を実現可能な技術として、本研究室では1万台を超える端末がランダムに基地局の許可(グラント)なしにデータを伝送することで、数ミリ秒以下で全てのデータを復元できるグラントフリー非直交伝送法を提案しています。

  1. T. Hara and K. Ishibashi, “Grant-Free Non-Orthogonal Multiple Access with Multiple-Antenna Base Station and Its Efficient Receiver Design,” IEEE Access, vol. 7, pp. 175717 – 175726, 2019, DOI: 10.1109/ACCESS.2019.2956817. [available here]
  2. M. Oinaga, S. Ogata, and K. Ishibashi, “Design of Coded ALOHA with ZigZag Decoder,” IEEE Access, vol. 7, pp. 168527 – 168535, Nov. 2019, DOI:10.1109/ACCESS.2019.2954163[available here]
  3. S. Ogata and K. Ishibashi, “Application of ZigZag Decoding in Frameless ALOHA,”  IEEE Access, vol. 7, no. 1, pp. 39528-39538, Mar. 2019, DOI: 10.1109/ACCESS.2019.2906937 [available here].
  4. S. Ogata, K. Ishibashi, and G. Abreu, “Optimized Frameless ALOHA for Cooperative Base Stations with Overlapped Coverage Areas,” IEEE Trans. Wireless Commun., vol. 17, no. 11, pp. 7486-7499, Nov. 2018, DOI: 10.1109/TWC.2018.2867492 [available here]

遮蔽予測に基づいた高信頼協調多地点伝送技術

今後さらなる高速化・大容量化にあたり、無線通信では30GHz以上の高周波数帯の活用がさらに必要となります。一方、このような高周波数帯では、人体や車といった物体の移動によって電波が遮蔽されると通信を継続することができず、通信状態が不安定となってしまうことが知られています。本研究室では、このような不安定性に対処すべく、統計的学習などの様々な学習手法を用いて、遮蔽予測を活用した高信頼な基地局連携ビームフォーミングを提案し、これらの技術の実装にも取り組んでいます。

協調多地点伝送(CoMP)による遮蔽の影響の緩和の様子

ソフトウェア無線による実装風景

  1. H. Iimori, G. T. F. de Abreu, O. Taghizadeh, R.-A. Stoica, T. Hara, and K. Ishibashi, “Stochastic Learning Robust Beamforming for Millimeter-Wave Systems with Path Blockage,”  IEEE Wireless Commun. Lett., 2020,  DOI: 10.1109/LWC.2020.2997366. [available here]
  2. R. Okabe, H. Iimori, and K. Ishibashi, “Low-Complexity Robust Beamforming with Blockage Prediction for Millimeter-Wave Communications,” APSIPA ASC 2020, Virtual Conference (2020.12)

セルフリーネットワーク技術

移動体通信がすさまじい進歩を続ける一方で、5Gにおいても基地局アーキテクチャは、50年以上前に提案されたセルラーネットワークを基本としています。しかし空間的な無線資源を極限まで活用するためには、空間的な干渉構造を決定する基地局アーキテクチャそのものの変更が必要と考えられます。そこで本研究室では、電波を放射するアクセスポイントと、それらを制御する中央演算ユニット(CPU)に基地局を物理的に分割し、光フロントホールで接続することで、設計自由度を向上させたセルフリーネットワークに着目し、セルフリーネットワークの設計について様々な研究を行っています。

  1. H. Iimori, T. Takahashi, K. Ishibashi, G. T. F. de Abreu, and W. Yu, Grant-Free Access via Bilinear Inference for Cell-Free MIMO with Low-Coherent Pilots,” submitted to IEEE Trans. Wireless Commun., 2020.
  2. 福榮秀都, 飯盛寛貴, アブレウ ジュゼッペ, 石橋功至, “セルフリー大規模MIMOのための分数計画法を用いたダイナミックTDD割当方式に関する一検討,” IEICE RCS, 2020.

環境発電無線センサネットワーク

ディジタルツインなど、今後の情報通信技術の発展には、現実世界の情報をディジタル世界に持ち込むためのインターフェースが重要となり、このためにメンテナンスフリーな無線センサーシステムの実現が必要とされています。本研究室では電池を一切搭載せず、空間中に存在するエネルギー(太陽光や浮遊電磁波など)のみから電力を集め、自律的に通信を行う環境発電無線センサーネットワークの理論設計から実証実験までを行っています。

  1. V. V. Mai, W.-Y. Shin, and K. Ishibashi, “Wireless Power Transfer for Distributed Estimation in Sensor Networks,” IEEE J. Sel. Topics Signal Process. – Special Issue on Cooperative Signal Process. for Heterogeneous and Multi-Task Wireless Sensor Networks, vol. 11, no. 3, pp. 549 – 562 (2017. 4) [available here]
  2. H. Kawabata, K. Ishibashi, S. Vuppala, and G. Abreu, “Robust Relay Selection for Large-Scale Energy Harvesting IoT Networks ,” IEEE J. Internet of Things,  vol. 4, no. 2, pp. 384-392 (2017. 4) [available here]
  3. R. Tanabe, T. Kawaguchi, R. Takitoge, K. Ishibashi, and K. Ishibashi, “Energy-Aware Receiver-Driven Medium Access Control Protocol for Wireless Energy-Harvesting Sensor Networks,” in Proc. IEEE CCNC 2018, Las Vegas, NV (2018. 1)
  4. T. Kawaguchi, R. Tanabe, R. Takitoge, K. Ishibashi, and K. Ishibashi, “Implementation of Condition-Aware Receiver-Initiated MAC Protocol to Realize Energy-Harvesting Wireless Sensor Networks,” in Proc. IEEE CCNC 2018, Las Vegas, NV (2018. 1)

アンビエントバックスキャッター通信

IoT技術の進展のためには省電力で高効率な無線通信技術が必要とされています。このような要求に対して、環境中に浮遊する様々な無線通信方式の電波を反射・吸収することで数百ナノワットの消費電力で通信可能なアンビエントバックスキャッター(ABS)技術が注目を集めています。本研究室では、数メートル以上の通信が可能であり、また伝送効率も向上可能な新しいABS技術を提案すると共に、スマートフォンのような汎用デバイスでこのABS変調を復調する手法などを提案しています。

  1. R. Takahashi and K. Ishibashi, “Ambient OFDM Pilot-Aided Delay-Shift Keying and Its Efficient Detection for Ultra Low-Power Communications,” GlobalSIP2019, Ottawa, Canada, (2019.11)